ヘルパーの家事援助の目的と内容について

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介護_ヘルパー_仕事内容

高齢者の自宅で介護サービスを提供するホームヘルパー(以下、ヘルパー)の仕事内容は、身体介護だけではなく生活援助も含まれています。家事援助のイメージはヘルパーでない方でもある程度想像は出来るかと思いますが、実際に家事援助を行うための目的や内容について知っている方は少ないのではないでしょうか?ここでは、家事援助の目的と内容について詳しくお伝えしていきます。

ヘルパーの家事援助とは

ヘルパーの家事援助の内容は、大きく分けると3つあります。掃除、洗濯、調理が主な家事援助の内容になります。掃除は居室に掃除機をかける、必要に応じてトイレや浴室、キッチンなどの水回りの掃除も行います。洗濯については、洗濯機を使って洗濯をする、干す、取り込むなどを行います。調理に関しては、買い出しから行う場合もありますし、調理してから食事介助を行うケースも有ります。高齢者の体の状況応じて必要な部分だけの家事を行うというイメージです。例えば調理であれば切るだけを手伝ったり、掃除であれば拭き掃除だけを手伝ったりするケースも少なくはありません。

家事援助の目的について

それでは次に家事援助の目的についてご紹介します。何を目的に家事援助をしているのかを把握することによって、注意点やポイントなどが理解できるかと思いますので、これからヘルパーとして働きたいと考えている場合は、是非知っておきましょう。

1人でも生活できるようにする

介護が必要になると老人ホームなどの高齢者施設に入ることが一般的だと思いますが、自ら進んで老人ホームに入りたいと思う高齢者は少ないと言えます。やはり自宅でいつまでも過ごしたいと思う方が多いようです。家事援助は1人でも生活が出来る援助であるといえます。いつまでも自宅で過ごしたいが、掃除や調理などが出来なくなく、やむ得ず老人ホームに入ることを防げます。出来ない部分を補って生活が成り立つように支援するのが家事援助であるといえます。

自立の意欲をもってもらう

自立をするといっても全てを自分で行うわけではありません。介助を受けていながらも、自分で自分のことを決めて生活が出来るのが自立した生活です。反対に自分では決めずに、人に言われるがまま生活するのでは自立しているとは言えません。家事援助はその自立の意識を持ってもらうために、必要なのです。例えば、掃除をどのようにして欲しいのか、調理の味付けは、洗濯の干し方などを都度高齢者に聞いて、自分で決めてもらう、自立の意欲を持ってもらうことが必要になります。

QOLを向上させる

QOLはクオリティオブライフの略称で、介護の世界ではこのQOLの向上を意識して支援を行います。具体的にどのような支援を行えばいいのでしょうか?例えば体調が悪くなり、自分で掃除が出来なくなり、ゴミ屋敷のようなところで生活をしているとします。そのような生活をしていると感染症や火事などの危険性があり、QOLが高いとは言えません。このような場合に掃除の支援を行って清潔で安全な場所で生活をしてもらうのです。

能力や可能性を拡げる

「車椅子だから家事は出来ない」と思う高齢者は、全てをヘルパーに任しておこうと思いがちです。能力や可能性を自ら捨てる心理です。しかし、考えなくてはいけないことは、高齢者が何も出来ないという訳ないという事です。そして、出来ない部分だけをヘルパーが支援をして、出来るところはやってもらうことが大切なのです。高齢者自身も「これだけ行うことが出来るんだ」と思い、自らの能力や可能性を広げることが出来るのです。心理として「出来ない」と思うよりも、介助を受けながらでも「出来るかもしれない」と思う方が生活に張りが出ると言えます。

社会とのつながりをもたせる

介護が必要な高齢者はどうしても社会とのつながりが薄くなります。一日ベッドや車いすで過ごして、話し相手もおらず、テレビだけを見て過ごす高齢者も少なくはありません。そういった状況で社会とのつながりは急速に絶たれてしまうのです。しかし、家事援助の一環でゴミ出しにいったり、買い物をしたりなど、少しでも社会に触れる機会を作ることができます。また、家事が出来ない方は服が汚れていたり、匂いが体に染みついていたり、社会との関りを敬遠される要素を持っていることもありますので、その点も家事援助によって問題解決をしていくことが出来るのです。

家族の負担軽減

家事援助は独居高齢者のみに提供されるものではなく、家族と同居されている方の支援を目的に提供される場合もあります。例えば老々介護で、同居者も体が不自由な場合は家事援助を行って家族の負担を軽減させることが出来ます。また、子供と同居しているが、働きに出ていて早朝に仕事に行き、深夜に帰ってくる場合なども、ヘルパーの家事援助で在宅生活が可能になる場合もあります。この場合は、家族の介護を支援して、社会生活を保つ役割があります。

家事援助の4原則

家事援助の4原則をご存知でしょうか?信頼関係を築くこと、利用者の習慣や生活態度を尊重する、必要なことを見極める、秘密を守るの4つです。この4原則を知ることによって、ヘルパーとして必要最低限身に着けておきたい心がけを知ることが出来ますので、是非覚えてください。

信頼関係を築く

介護施設と違ってヘルパーは高齢者の自宅に伺い介護を提供します。利用者の生活の場に踏み込みますので、ある程度の信頼関係がないと仕事がやりにくくなってしまいます。物を壊された、取られたという妄想になることも珍しくはありません。また、利用者の思いを尊重するためにも信頼関係は必要なのです。よくあるケースとして、ヘルパーの掃除仕方が気に入らず、ヘルパーが掃除をして帰った後に、自ら掃除をやりなおすというパターンです。やはりこのケースも信頼関係が遠いから起こることです。信頼関係があれば利用者の思いを引き出して、自分の希望をヘルパーに伝えることが出来ます。

利用者の習慣や生活態度を尊重する

習慣と生活態度は非常に重要です。ヘルパーが当たり前だと思っていることは、あくまでもヘルパーがこれまで過ごしてきた習慣と生活態度から来ているものです。つまり、習慣と生活態度が違えば、当たり前も変わってくるのです。そのことを理解しておきましょう。利用者も昔からの習慣や生活態度がありますので、まずは利用者自身の習慣と生活態度を理解しておくことが必要になります。それを無視して、自らの習慣で生活習慣を押し付けてしまうと、信頼関係が築けず、サービスの中止に繋がる可能性もあるのです。

必要なことを見極める

残存機能の活用はご存知でしょうか。残存機能は残された機能のことであり、いわゆる「自らの力で行えること」です。その残存機能を生活して、本当に必要な支援を見極めることが必要になります。よくある例としてヘルパーは、掃除が出来ない、調理が出来ないという利用者の言葉をそのまま鵜呑みにして、掃除と調理全て行ってしまうことがあります。しかし、掃除や調理のどの部分が出来ないのかを見極めることによって、本当に出来ない部分を、必要なサービスとして提供するのです。何もかもヘルパーがしてしまいますと、利用者の身体機能は確実に低下してしまうのです。

秘密を守る

これは信頼関係に繋がることですが、秘密を守るという事は非常に大切なことです。ヘルパーは利用者の自宅で介護を提供するので、利用者の個人情報に触れる立場です。利用者から自身や家族についての話をされるでしょう。しかし、この話はあくまでもヘルパーだから話をしている訳であって、誰にも話すことではありません。利用者との話の内容を外で話してしまいますと、利用者はショックを受けて信頼関係がなくなります。秘密の保持は介護の仕事をする上で必要不可欠なものであると言えます。

家事援助でのやりがい

家事援助は簡単そうに見えて実は非常に奥が深いものです。利用者の思いを理解して、状況を理解して、出来ること、出来ないことを見極めて、必要なサービスを提供していくのです。家事支援することによって、利用者の生活は安定し、活力が湧いて、結果的にQOLの向上に結びつくのです。家政婦が行う家事援助と、ヘルパーが行う家事援助は目的が違います。家政婦は手伝って満足してもらうことが目的ですが、ヘルパーは支援をして生活の質を向上させることが目的なのです。そこに専門性が重要になってくるのです。これからヘルパーを目指そうと思う方は是非ヘルパーの目的、専門性を理解して仕事に取り組むとより良いサービスを提供することができます。

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